皆さんの健康のために

「HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン」

 日本ではHPV16、18型による20・30代の子宮頸(けい)がんが増加しています。子宮頸がんの大部分は性交によるHPVの持続感染が原因であることは知られていて、20代の子宮頸がんでは発がんスピードが速いHPV16、18型が90%を超えて検出されています。それに対してHPVワクチンが有効であることは証明されており、日本でも平成25年4月からHPVワクチンが定期接種化されましたが、原因不明の全身疼痛(とうつう)や運動障害などの多様な症状が生じたというマスメディアの報道以降、開始からわずか2カ月後の6月以降には定期接種でありながら積極的勧奨を中止することになり差し控え状態でした。

 その後、さまざまな検討の結果、「ワクチンとの因果関係の証明はなく、接種の有無にかかわらず、さまざまな症状を呈する存在がほかにも報告されており、ワクチンの有効性の方が優る」という結論に達し、9年経った今年の4月から再開となりました。現在、HPVワクチンは世界100カ国以上で定期接種化されており、発展途上国でもその接種率は50~100%となっています。

 国内では公費接種として、2価と4価のHPVワクチンが承認されています。感染予防できるハイリスクHPVは16、18型で、初交前の女子に接種することが最も効果的で70%以上の予防ができるとされています。実際に、ワクチン停止世代における細胞異常率は、接種世代より上昇しており、その有効性は明らかです。副作用のないワクチンはありませんが、HPVワクチン接種後に生じた多様な症状に対応できる協力医療機関や専門医療機関の診療体制も整備されています。接種対象は小学6年生から高校1年生までですが、ワクチン接種を逃した平成9年4月2日~平成18年4月1日生まれの女性も、令和7年3月まではキャッチアップ対象として公費で接種できますので、ぜひとも検討していただきたいと思います。

2022年9月18日


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