皆さんの健康のために

「水虫」

 水虫は、夏になると発症する、足がかゆくなったり、ジクジクする病気と思われがちですが、実際は通年性の皮膚病です。カビの一種である皮膚糸状菌(白癬菌)が原因で起こり、高温多湿下で増殖するため、夏期にはっきりした症状が出やすく、夏の病気と思われるのでしょう。

 水虫は自然発症はしません。どんなに蒸れた状態にあっても、そこに皮膚糸状菌(白癬菌)がいなければ水虫にはなりません。ケラチンというタンパクを栄養源として生きていますから、ケラチンの多い場所に付着、増殖、伝染していきます。ケラチンは皮膚、爪、毛に多く存在します。ですから、足以外のいろいろな場所に病巣をつくります。年齢や性別は関係なく伝染し、家族内感染もしばしば見受けられます。最近は柔道やレスリング、総合格闘技を行っている人たちの間で、トリコフィトン・トンズランスという菌による白癬が頭や顔、体に練習中や試合を介して発生しています。これらの診断は、病巣部から皮膚糸状菌(白癬菌)を見つける検査で確定することができます。

 水虫そのもので重大な病気になるわけではありません。しかし、軽く考えていると、病気で免疫を下げる薬を使用している人や、糖尿病でコントロール不良な人は、水虫によってできた皮膚の傷から細菌が侵入し、壊死性筋膜炎や糖尿病性壊疽により手足の切断に至る例もあり、注意が必要です。最近では、爪の水虫のため爪変形を生じ、皮膚に食い込むことで痛みを来し、転倒や骨折に至り、寝たきりやフレイルになるリスクが増大するという研究発表もあります。水虫は適切な治療を行えば完治させることのできる病気です。ぜひこの機会に医療機関を受診してください。

2022年10月16日


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