睡眠は心身の健康を保つうえで極めて重要なことですが、「ストレス社会」といわれる現代において、不眠症で悩んでいる人の数は決して少なくありません。 不眠症には臨床上、幾つかのタイプがあります。寝ようと横になってもなかなか寝付けない(入眠障害)、寝付いても短時間で目が覚めてしまう(中途覚醒)、予定よりも朝早く目が覚めて、その後寝付けない(早朝覚醒)、睡眠時間は十分なのに眠りが浅く、寝た気がしない(熟眠障害)など。 不眠が続くことは、とてもつらいことです。必要な睡眠時間は年齢や個人により差がありますが、睡眠不足になると、頭がボーっとして思考力が衰えたり、情緒が不安定になってイライラしたり、怒りっぽくなります。また、日中に眠気が来て、集中力が欠けて仕事がはかどらなくなったり、うっかりミスをするようにもなります。さらには、睡眠不足が長引くと免疫力が低下して感染症やがんが悪化したり、血圧の上昇をもたらすこともあります。 不眠症の原因は多種多様です。例えば、対人関係や仕事に関する悩み、生活リズムや睡眠環境の変化、また、体のどこかに痛みがあることなど。そのほか、不安障害やうつ病が不眠症の背景に存在することもあります。 不眠症の治療は原因を取り除くことが基本ですが、臨床的には一般に薬物療法が行われます。使われるお薬は不眠症の原因やタイプによって選ばれます。なお、睡眠薬は依存症を起こしやすいといわれ、危険視されますが、医師の指示通りに服用さえすれば心配ありません。不眠症に悩んだら、ためらわずに、かかりつけ医に相談してください。 |
2022年11月20日