脊柱の変形

健康コラム「脊柱の変形」

 人間は脊椎動物で、いわゆる背骨を有しています。タコなどの無脊椎動物と異なり運動機能に有利な条件を備えていて、これは鳥類・爬虫類・両生類・魚類なども一緒です。ところがこの背骨が先天的な理由で変形したり、加齢とともに変形したりすることがあり、これによっていろいろな障がいが起こります。小児に発生する代表的なものに、体の左右にS字状に彎曲(わんきょく)する特発性側彎(そくわん)症があります。思春期の女児に多く、遺伝因子が関与しています。日本では1978年から学校検診が導入されていて、三鷹市でもすべての小・中学校で6月頃に整形外科医師が側彎症検診を行っています。特発性側彎症を放置すると運動機能障がいや肺活量の低下などの問題が生じます。治療はカーブが25度を超えるとコルセットを着用し、40度以上では手術療法が検討されます。

 高齢者でみられる脊柱変形には小児期の特発性側彎症を放置した例や骨粗しょう症による脊椎圧迫骨折を原因とするものが多くみられます。高齢者では左右方向だけでなく前後方向に脊柱変形が起こることにより、いわゆる腰曲がりの変形を来すことがあります。症状は腰痛、また脊柱管狭窄(さく)症の症状として下肢神経痛や腰部疲労感などがあります。肺活量が低下したり胃食道逆流症が起こったりしやすくなることから、メンタルヘルスが低下してうつ病を発症することがあり、ほかの循環器や消化器などの慢性疾患と同様に生命予後にも影響が出ます。治療としては、装具や運動療法は有効性が低く、軽度の症状であれば投薬や消炎処置、マッサージなどのリハビリを試します。効果がなければ手術を選択することもあり、今は高齢者に配慮した体への負担が少ない手術も開発されています。三鷹市では杏林大学医学部付属病院や武蔵野赤十字病院と密接に連携をとっていますので、安心して最寄りの整形外科にご相談ください。

2024年4月7日


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