IT(情報技術)の進歩が生活の隅々まで浸透しています。そして、糖尿病の診療にも大きな変化の波が押し寄せています。糖尿病の治療では血糖の状態を把握することが大事ですが、ここでもデジタル化が進んでいるのです。 これまで、患者さんが自宅で血糖を測定する場合、指先に針を刺して、簡易血糖測定器を使用することが普通でした。しかし、最近のデジタル化により、スマートフォンなどで血糖の指標が簡単に分かる装置が普及しています。スマホやスマートウォッチに表示されるデータで自分の血糖の状態が分かり、低血糖や高血糖状態をアラームで教えてもらうことまで可能です。また、医療関係者やご家族が、患者さんの血糖の状態をいつでも確認できるような設定もできます。お母さんの血糖の状態が心配だという場合、お子さんが1日に数回数値を確認し、高血糖状態などになっていれば早めに対応するという体制を取ることもできるのです。 ちなみに指標自体にも少しずつ変化があります。これまで糖尿病のコントロールの状態はHbA1c(ヘモグロビン エーワンシー)を用いることが多かったのですが、血糖が70~180(mg/dl)の間に入っている割合(%)を示すTIRという指標が使われるようになってきています。将来的にはTIRの方が合併症が生じる可能性をより正確に予測できるようになるかもしれません。 |
2024年5月19日