現在、薬の供給不足が発生していることをご存じでしょうか。薬局に行ってもせき止めや解熱鎮痛剤などがなくて、在庫のある薬局を探したことや、似た効果の薬に変更してもらったことはありませんか。薬の供給不足は令和3年くらいから続いています。大手ジェネリック医薬品メーカーの品質不正を皮切りに、次々とほかのメーカーでも品質不正が発覚して業務停止となり、薬が不足していきました。それに加えて新型コロナウイルス感染症の流行も重なり、需要と供給のバランスが完全に崩れてしまったのです。 4年たっても流通がなかなか戻らないのには、薬の価格設定にも一因があります。保険診療で使われる薬の販売価格はメーカーではなく国が決めており、風邪が流行した時によく処方されるせき止めや解熱鎮痛剤などは、1錠5~10円と比較的安い薬が多いです。国は供給不足を改善するために必要な薬を増産するように指示を出していますが、メーカーは薬を増産するための設備投資が難しく、逆に利益が無い薬を販売中止にする状況も起きています。また、多くの原料・原薬を海外に依存している日本では、ここ最近の円安の影響も強く受けています。 今もすべての受注に対応できない薬が約3,000品目もあります。患者さんの命に関わることもある「薬の供給問題」。医師が処方したい薬を処方でき、それを当たり前に受け取れる日はいつになるのかといった懸念もあります。医薬品の供給に関わるさまざま業種間の連携が求められています。 |
2025年1月19日